2008年04月27日

沖縄の基地と環境の現況を変えるために

沖縄県立博物館の講堂で開かれた、『押し付けられた常識を覆す~安保・開発・環境の視点から~』というシンポジウムに行った。

公共工事依存、米軍基地押し付けにより自然が破壊される現況を打開するためには、
 「沖縄の経済は、基地や開発がなければやっていけない」
 「沖縄の人もそれらを仕方ないと思って受け入れている」
このような「常識」を沖縄の中から打ち破る必要がある、という問題意識のもとに開催されたこの会には、錚々たる論客がパネリストを務める。。

琉球大学の我部教授は、米軍にとって要石とされていた沖縄の軍事的重要性について、海兵隊に関して言うと、沖縄から基地を動かせないということはなく、むしろ政治的な観点から沖縄に基地がある状態が続いている、という。

琉球大学の島袋教授は、政府による沖縄振興開発計画は、基地問題をカネと結びつけて中央政治の争点としない仕組みの裏返しであり、地域住民にとって必要なものよりも補助金額の大きい工事が優先され、ニーズや効率性は省みなかったことを指摘する。そして、これに代るものとして、市民社会に根ざした自治のシステムこそが豊かな社会を創るという。

沖縄大学の桜井学長は、自然を食い物にした基地や公共工事に頼って生きるのではなく、沖縄の自然環境の素晴らしさを再認識し、自然や自然と調和して生きてきた文化を題材とする持続可能な観光など、自然と調和した暮らしによって生きるという意志を県民が一人一人が持つことの重要性を説く。そして、観光客1000万人という県の目標は、環境容量を考えると持続不可能であり、観光の基盤となる自然環境を本土資本のゼネコンが食い荒らすことになってしまうと警告する。

300名ほど入る講堂は満席で、若い人の姿も見られる。辺野古の座り込みなどの運動を続けてきた人の発言など、会場からも盛んにコメントや質問が飛び出す。総論として、辺野古や米軍暴行事件などを、一部の人の問題ではなく県民全体の問題として捉え、地域に根ざした平和産業で自立を図るという思いを一人一人が持ち、基地反対の現場に行けなくても、そのような現場で行動する人を下支えする世論をつくりあげていく、それによって米軍基地は不要という新たな「常識」を内外に示していこうということであったと思う。

沖縄の環境問題を取り上げる会合に出るたびに、世論に訴えて現在の流れを変えなければ、と思うものの、そのような運動がなかなか広まらないことに落胆し、どうすればいいのかと模索していた身として、若い人も多く参加していた今日の議論は心強いものがあった。
沖縄の基地と環境の現況を変えるために


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環境と観光、スローライフとエコツーリズムで人と地域を元気にする、「スローツーリズム・コーディネーター」。人、自然、地域との「つながり」を求めて、世界35カ国と日本全国、沖縄の殆どの有人島を旅する「風の人」。コーヒーとオリオンビールと村上春樹が好き、ヘビとおしゃべりな床屋がキライです。
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